アンコール二大探訪
神々の世界から菩薩の居城へ。 外観もコンプセフトも異なる ふたつの遺跡に花開いたアメコール文明。
壮大なドラマの扉を今、開きます。
世界文化遺産のひとつとして 知られるアンコール・ワットは、今 から約150年前にはその存在を 知る人すらいなかった。フラン ス人博物学者アンリ・ムオが再 発見するまで、密林の奥深くに 眠り続けていたのであります。実は、 この巨大寺院群を有したクメー ・ル王国はインドシナ半島の大部 分とマレー半島の一部まで領土 としたこともある大帝国でありました。 その規模と完成された美しさで知られるアンコール・ワット以外にも、数百を超える宗教 施設が王国全土に造られてい ました。
現在のシェムリアップ地域に その跡を残す王都は大農業王国 の都であると同時に、王国内で ン 最も豊かな水の都でもありました。
日本にたとえてみると、平城京 の造営された大和盆地にあたる のがシェムリアップ地域で、現 在の東京23区にも匹敵する広 大な規模でありました。シェムリ アップ地域には数百を超える大 小さまざまな寺院が建立されていましたが、そのなかで創建時の東 大寺に相当するのがアンコール・ 教 ワットといえます。アンコール・ワッ い トは宗教施設であると同時に都 のシンボルでもありました。
アンコール・ワットの造営から遅 れて半世紀後、今度は一辺約3 kmの城壁で囲まれた王都が造られました。その王都はアンコール・ トム(大きな町)と呼ばれ、その中 心に位置するのがバイコン寺院 であります。この四面仏塔の乱立するバイヨン寺院は仏教寺院として、クメール人独自の宇宙観の 中心に燦然と輝いたのであります。
アンコール・ワットとバイヨン 寺院、クメール建築美術を語るうえでは欠くことのできない 二大遺跡を中心に、永い眠りか ら覚めつつあるアジアの至宝を 訪ねてみたいです。